ARTISAN 2. 高澤ろうそく(七尾和ろうそく / 和ろうそく / 石川県)

ARTISAN 2. 高澤ろうそく(七尾和ろうそく / 和ろうそく / 石川県)

石川県能登地方 七尾市、古い街並みが特徴の一本杉通りにあるのが「高澤ろうそく」。1892年に創業、和ろうそくを作り続けている石川県唯一の七尾和ろうそく屋さんです。アットホームな雰囲気が特徴的で、ご近所の方々から他県のお客様まで、みんな笑顔で足をはこぶ暖かいお店です。
現在は仮店舗で営業されています。(2024年11月現在)
 
金沢市からのと里山海道を車で走らせていくと、だんだんと豊かな自然が増え、左手には日本海が見えてくる。能登地方だ。1時間ほどすると、港の町、七尾に到着する。「高澤ろうそく」のある町です。
七尾の港は能登島を防波堤とした天然の良港で、室町時代には越後・佐渡・奥州をはじめ遠く中国大陸とも通商していました。1650年頃、七尾を領地とした前田家が蝋燭座(ろうそくざ)といわれる蝋燭の製造販売組合のようなものをつくり、各地より職人を集め、蝋燭作りを推奨しました。七尾は江戸から明治にかけ北前船の寄港地として栄えたため、各地の原料を取り寄せ、出来上がったろうそくを各地に運ぶことができ、そこから七尾でのろうそくの生産が盛んになっていったと伝わります。

「しみじみうれしい実りの秋」2024年秋に訪れた際(店内の様子)
  
和ろうそくは植物ロウ(パーム椰子、菜種、ハゼ)を主原料に、芯は和紙と灯芯草を一本一本手巻きしてつくっています。自然の材料でできた高澤ろうそくさんのゆらぐ明るい炎は、日の暮らしのなかの穏やかでちょっと豊かなひとときを、「灯りのひととき」をお届けしてくれます。それは、本当に心地良く過ごせるものは自然の素材からできている、という先人たちの知恵が詰まった和ろうそくだからなのでしょう。
自然素材の暖かい灯りが和ろうそくの特徴。(漆ろうそくとその原料となる漆の実)

 

令和6年1月1日、元旦に発生した能登半島地震を受け、高澤ろうそくさんの店舗も大きな被害を受けました。現在、店舗のあった一本杉通りに仮店舗を設けて、営業を行っています。高澤ろうそくさんは伝統技術の灯りを灯し続けています。

倒壊した店舗は、現在補修による再建に向け、一歩一歩前に進んでいます。

 

ローマ法王へ和ろうそくを寄贈したこともある。(店内の様子)

  

元々の店舗は震災で被災。国の登録有形文化財に指定されていた。現在再建に向けた取り組みを行っています。
 

 

 

 

⬜︎和ろうそくとは

やさしくゆらぐ炎が美しい、日本生まれの和ろうそく。特徴を知ると、もっと使いご心地が良くなります。

・芯
筒状にした和紙の上に灯芯(イグサの髄にあるスポンジ状の部分を手巻きします。その上から真綿をうすく巻き付けて、ほどけないように留めると芯の完成。芯は先まで空洞になっているので、燃えている間も常に灯芯から吸い上げたロウと酸素が供給され風にも強い、明るく力強い炎となります。出来上がった芯はろうそくの型にさし、溶かしたロウを流しこみます。冷えて固まったら取り出し、一本一本丁寧に仕上げます。
・原料
植物性由来のロウを原料につくられています。高澤ろうそくさんではハゼ・パーム椰子・菜種・米ぬか・うるしなどさまざまな植物ロウからろうそくをつくっています。
・炎
優しい素材でできた和ろうそくの特徴は、炎。洋ろうそくに比べて、長く大きくもやさしい炎を見ることができます。美しいオレンジ色、やわらかな揺らぎはなんとも心地よい。耳を澄ますと時折パチっと弾ける音が聞こえてきます。
・炎の手入れ
炎を美しく保つために、炎が大きくなりすぎた時は、適度に芯を切ってあげてましょう。(芯切りバサミをご利用ください)
また、火を消すときは、決して吹き消さず、火のついた芯をつまんで消すのが和ろうそくです。

 

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