ARTISAN 3. 守田漆器 工房静寛(山中漆器 / 漆器 / 石川県)

ARTISAN 3. 守田漆器 工房静寛(山中漆器 / 漆器 / 石川県)

石川県加賀市山中温泉にある漆器の塗師屋「守田漆器」。明治42年(1909年)に創業、山中漆器の伝統技術を後世に残せるように、ベテランの職人や若い世代の職人たちの力が発揮出来る環境を提供し、職人の伝統技術の継承に力を入れています。

石川県から福井県へと抜ける山間の道を進んでいくと、ある穏やかな温泉街にたどり着く。ここは石川県の中で有名な温泉の一つ、山中温泉。文字通り、自然豊かな山の中にある。西暦740年前後に発見されたとされ、松尾芭蕉にも好まれた温泉である。静かに落ち着いた雰囲気のこの温泉地が、山中漆器が産地である。ここに「守田漆器」がある。

 

「工房静寛」

2022年にオープンした「工房静寛」は、工房内にカフェ・フラワーショップが一体となって併設されている。器と緑、食と技を五感で体験できるライフスタイルストア。開放的で明るい店内は、作り手と使い手がより近い距離で繋がりを感じることができます。美味しいコーヒーと職人技を同時に愉しみ、帰りに温泉に入ってまったりする。こういう体験ができるのは、山中温泉にある工房静寛ならでは。

ガラス越しに職人技を拝見。ここは特等席。

 

桜・欅(けやき)・栃(トチ)・栓(セン)の木々の特性を活かして、木から器を削り作り出していきます。美しい木目が見えるように仕上げる「拭き漆」が山中漆器の特徴です。ひとつひとつ木目が違うので、同じサイズのお椀でも「これはわたし用。これはあなた用。」と何気なく見分けることが可能なことも面白い。

削る部分毎に道具を使い分けていく。カンナは職人が自らの手で作っている(!)。

 


守田漆器では、山中漆器の伝統的な商品を中心にろくろ挽き、塗り、蒔絵のワザを活かして製造しています。今もこれからも伝統と革新の融合を目指しています。漆器産地「山中」の主たる技術が精度の高いろくろ挽きされた木地、それの精度を落とさず、良さを引き出すように塗り上げる事。そして、煌びやかな蒔絵などの多彩な加飾技術。それらの技術が積み重ねられて仕上がるものが守田漆器の器です。

一つの木の塊からお椀が削り出されていく。これは桜。

 

「私たちは山中漆器と人々をつなげる役目を担っています。日々変わる現代のニーズと作り手の技術・思いの接点を形にし、今まで山中で培われてきた高い技術を若い世代に継承していきます。」

使うほどに色艶が深まり、漆の柔らかな光沢や温かな手触りが魅力です。本物の温かさに触れて伝統工芸の良さを味わうとともに、現代生活に新たな楽しさ、豊かさを見出してください。

カフェのキャッシャーの真横には、塗りの部屋が。

 

蒔絵の部屋もオープンになっている。

 

守田漆器 工房静寛の商品はこちら

 

⬜︎山中漆器とは

石川県加賀市山中温泉を代表する伝統的な漆器。安土桃山時代のころから続く山中漆器は、木地の美しさと塗りの技術が特徴です。
山中の木地に関して、木地師として初めて人間国宝に認定された川北良造氏をはじめ、多くの木地師が活躍しています。光が透けるほどの薄挽き、木面に繊細な模様を刻む加飾挽きなど、職人の高い技術が数々の技法を生み出してきました。挽物に使うカンナはすべて、職人が鋼を鍛造して作っています。こうした切れ味への追求が日本一のろくろ技術を支えています。
塗りに関しては、その美しい木地の木目を活かして、拭き漆で仕上げているのが山中漆器の特徴です。(拭き漆:文字通り、木地に漆を塗っては拭き取る、を7〜8回ほど繰り返し行う塗り技術。)拭き取ることで漆の一層一層が薄くなり、美しい木目が見える仕上がりに。もちろん、美しい漆の艶も合わせて味わうことができます。
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